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【4月第5週】米中関係とトランプ政権の関税政策がもたらす市場環境の変動

更新日:5 日前

直近の混乱と市場の反応

先週までは、中国に対する米国の強硬姿勢とそれに対する中国の応酬により、世界の株式市場は下落基調でした。また、FRB(米連邦準備制度)のパウエル議長に対するトランプ大統領の批判により、FRBの独立性が揺らぎ、米ドルの信認低下につながる懸念から一時130円台までドル売りが進むなど、マーケットに不安が広がっていました。

しかしその翌日には、トランプ大統領が「関税はゼロにはしないが引き下げるだろう」「FRB議長を解任するつもりはない」などと発言を一転。さらに財務長官からも「強いドル政策を維持する」との発言があり、市場は安心感から反発。株価は6営業日連続で上昇し、ドル円も143円前後で推移するなど、投資家心理は好転しました。

出所:S&P500指数 3ヵ月間 日足(1本が1日)チャート 楽天証券HP※2025/4/30時点
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米中関係は依然不透明

とはいえ、米中の関税交渉については情報が錯綜しています。トランプ大統領はSNSで「習近平主席と電話会談をした」と発信したものの、中国当局はこれを否定。専門家の中には水面下で交渉が続いているとの見方もありますが、現時点では確かな状況は不明です。

すでに対中関税は最大145%まで引き上げられており、その影響も顕在化しています。大手小売業者はなおも中国からの輸入を継続していますが、中小企業にとってはコスト上昇と需要減による経営難が深刻化。特に中小玩具メーカーの半数が倒産の危機に直面しているとの報道もあり、物流面でもコンテナの滞留やキャンセルが増加し混乱が拡大しています。

米国の構造と関税政策の矛盾

米国は基軸通貨「ドル」を持つことで、世界貿易から大きな利益を得ています。米国はドルを供給するだけで、他国からモノやサービスを受け取り、他国が得たドルで米国債が買われ、米国の財政も他国に支えられています。

また、WTO(世界貿易機関)やWHO(世界保健機関)を通じて、米国企業が国際的に自由かつ安全に活動できるようルールや制度を主導してきました。米国は低付加価値の生産は国外や移民に委ね、自国ではIT・軍事・金融・知的財産などの高付加価値領域に特化する構造を築いています。

このような体制において、トランプ政権の関税政策はその優位性を損なうリスクがあり、極めて自滅的な色彩を帯びています。実際、CNNの調査では59%の国民がトランプ政策により経済が悪化したと回答し、75%が今後の関税政策の悪影響を懸念しており、政権への圧力は強まっています。

出所:一般財団法人日本経済研究所「基軸通貨と世界経済の構造変化 ~ドル一極集中の含意について~」(2023年8-9月号)より引用 https://www.jeri.or.jp/
出所:一般財団法人日本経済研究所「基軸通貨と世界経済の構造変化 ~ドル一極集中の含意について~」(2023年8-9月号)より引用 https://www.jeri.or.jp/

長期的視点に立った投資のすすめ

とはいえ、このような混乱や制度的な揺り戻しは、自由主義や資本主義の発展における通過点とも言えます。人類はこれまでも複雑な課題を乗り越え、より良い社会を築いてきました。長期的には経済も拡大していくと考えており、それに連動する株式市場の成長も期待できると考えます。

そのため、感情に左右されず、適切な分散投資を続けていくことが大切です。資本主義とマーケットの力を信じて、長期目線での資産形成をご一緒に進めていきましょう。



【ディスクレーマー】

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株式会社みかたはいる 金融商品仲介業者 四国財務局長(金仲)第36号

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